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競売と任意売却の違い

任意売却が競売との対比で説明されます。

 

というのもローンの支払いを延滞すると、債務者は競売か任意売却かの選択をせまられることになるからです。

 

このため競売と任意売却の違いをよく理解しておく必要があります。

 

競売は、担保権者の申立てにより、裁判所が強制的に(いわば勝手に)不動産を売却する裁判手続きですが、任意売却は、抵当権等を有する債権者の承認をえて担保物件を売却することです。

 

債権者にとって競売は、裁判所まかせで債権の回収ができるのですから、任意売却よりも競売を選択する方が良さそうに思われます。

 

しかし競売もタダではできません。例えば、1億円の抵当物件の競売を申し立てるには、登録免許税や裁判所の予納金などで100万円ほどの費用がかかります。

 

本来、この費用は債務者が負担すべきものですが、その負担を債務者に求めても無理ですから、結局は債権者が負担せざるをえません。


それに加え、競売には次のようなデメリットもあります。

 

① 任意売却より売却価格が低くなる。

② 売却までの時間が長くなる。

 

このため債権者は、どちらを選択するのが有利かの判断を迫られることになります。もちろん、競売によって残債が100%回収できれば苦労もありませんが、オーバーローンの状態ですから、それは無理です。

 

一般には、競売のデメリットが強調されますが、そうとも限りません。

 

かならずしも競売の落札価格は安くはないですし、中には裁判所が示した基準価格をかなり上回る価格で落札される例もあります。

 

それに競売手続きも早くなっていますから、競売と任意売却の差は必ずしも絶対的な関係にはないのです。

 

こうなると煩わしい任意売却を選択をするよりも競売で良し、という債権者がいても可笑しくはありません。

 

債権者がどう考えるかは自由ですが問題は債務者です。

 

債務者としては、引越代なども必要でしょう。

 

それに競売では転居の時期も自由になりません。

 

いろんな意味で債務者にとっての任意売却のメリットは少なくないのです。

 

しかし、そうした側面だけでなく、債務者にとってはどちらを選択しても、残債という課題への対応が避けられません。

 

そうであれば、肝要なのは残債の対応上、どちらのメリットが大きいかということになってきます。

 

ある相談者が「任意売却をしても残債が消えないのであれば、債権者との煩わしい対応がない分、競売の方がましだ」といっていましたが、理解できなくもありません。

 

ただそれでもなお、任意売却を選択しなければならない理由があります。

 

確かに、どちらを選択しても残債の問題は避けて通れませんし、任意売却での債権者との対応は煩わしいでしょう。

 

しかし、任意売却を通して話合いができるからこそ、現状の経済状態を債権者に理解させることができ、生活を圧迫しない範囲の分割返済計画もできるのです。

 

任意売却には、たしかに煩わしさがあります。しかし、あえて煩わしい選択をするからこそいろいろと可能性が出てくるのです。

 

でもご安心ください、煩わしい作業は当相談室が請負います。

 

競売では、債権者と債務者は最後まで関係が遮断されていますから、残債についても話合いをする余地はありません。

 

任意売却の競売に対する最大のメリットは、結局はこの話合いができるという点に帰着することになるのです。

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