期限の利益の喪失とは
期限の利益とは、「期限の到来までは債務の履行をしなくてもよい」という債務者の利益のことです(民法136条)。
期限の利益を喪失するとは、債務者の期限の利益を喪失させることによって、期限の到来前であっても、債務の履行を請求することができるようにすることを言います。
期限とは、分割払いを約束している方の毎月の返済日とお考えください。
利益とは、その返済日までに約束通り支払っていれば一括の返済請求は来ないという意味だと解釈してください。
喪失とは、分割払い支払いの約束を破った場合にはその利益を失うという意味です。
◎住宅ローンを借りた銀行の【期限の利益の喪失】
銀行取引約定書には、期限の利益喪失約款につき、支払いの延滞が一回あるいは二回以上発生したときには銀行が請求すれば「期限の利益を喪失」するという、裁量権を持っているという規定があります。 (一般的には支払いが滞ってから3~6ヶ月で期限の利益の喪失通知が届きます)
◎期限の利益の喪失通知が届いた場合
住宅ローンを借りた金融機関等から送り届けられてしまったら、お客様は残っている住宅ローンを一括で返済しなければなりません。(債権者により書式・文面は違います)
残債務の一括返済が無理なら、一般的には任意で問題の不動産を売却するか、債権者に競売にかけられるかの2つの道しか残されていません。 (債権者の対応にもよります)
◎期限の利益の喪失条項
民法の原則では、破産宣告・担保毀損・担保減少等を除いて支払期日が来るまでは、債権者は代金の支払を請求できません(民法136条)。
このままだと、相手先が第三者に振り出した手形が不渡りになるなどの明白な信用低下があったとしても、黙っているしか手段はありません。
ところが、特約条項として手形の不渡り・債務不履行・会社更生法申立・民事再生法申立等の事由があった場合には、残債務について期限の利益が喪失する旨定めておけば、支払期日が到来する前に得意先に対して請求できることになっています。